HPVワクチンの安全性に関するCOGIの声明
2014 年2月20~23日、産科婦人科関連論議についての国際学会が開催され、22日(土)にはHPVワクチンの効果に関する包括的な議論が行われるなど、子宮 頸がん予防の進展について2セッションが開催されました。この会合で焦点となったのは、アジア太平洋地域におけるHPVワクチンプログラムでした。

専 門家によるパネルディスカッションや参加者との討論では、世界保健機関(WHO)の安全性監視諮問委員会や米国疾病対策センター(CDC)、欧州CDC、 ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)、世界産婦人科連合(FIGO)諮問委員会といった国際評価機関や各国組織の他、北欧諸国、オーストラリ ア、アメリカにおける第IV相監視試験や、HPVワクチンが法律で規定され、または導入されている120か国のうちほとんどの国における監視プログラムに おいて、安全性が引き続き評価されていることが確認されました。これまで世界中で約2億接種分が提供されており、医学や公衆衛生の分野においてはこれらの ワクチンの高い安全性が広く認識されており、第III相試験で示された非常に高い効果が、初期の接種者への影響評価でも確認されていることから、医学界で は、世界の全対象者への広い導入を引き続き推奨しています。

会 合で特に議論の対象となったのは、まれに見られるはっきりとしない疼痛症候群がHPVワクチンに関連付けられている現状でした。今日に至るまで、ワクチン に直接起因する死亡例はありません。しかし、メディアの影響やワクチンに疑問を抱く一部の人々の発言により、ワクチンキャンペーンの積極的な推進が中断し ています。一般市民、特に少女の親たちの間に広がった不安は、ワクチン接種を受けないことにつながるばかりでなく、若い女性に期待される効果を不当に遅ら せるものとなります。

COGI に出席した専門家は、ワクチンに対する不安が過去にもほとんどの新規ワクチンで見られたとしています。HPVワクチンについては、これまでに報告された疑 わしい症例が個別に精査され、効果とリスクのバランスの観点からワクチン接種を継続すべきと系統的に結論づけられています。監視プログラムにおいて副作用 が疑われたいずれの症例においても、ワクチンが原因であることは示されておらず、むしろ一回のワクチン投与と時間的(数時間、数週間、数か月)に関連付け られるものであり、偶然の一致と考えられます。ワクチンはここ数十年において、疱瘡など重大な疾患の撲滅に最も重要な予防ツールとなっており、麻疹、風 疹、黄熱病、ポリオなど数多くの病気の負担の大幅な軽減につながっています。子宮頸がんは世界中の女性に最も多く見られるがんで、定期健診が限定的な多く の発展途上国においては特に重大な疾患です。HPVワクチンの安全性に関する根拠のない疑念が高まり、ワクチンを推奨、推進する際のエビデンスが政治や感 情に左右されてしまうと、ワクチンの導入が遅れ、日本の若い女性における疾患率の低減が不必要に先伸ばされてしまうこととなります。

COGIに参加した専門家は、日本の医学界が引き続きHPVワクチンの効果と安全性のエビデンスをしっかりと伝え、始まったばかりのHPVワクチンプログラムを推し進めることを支持し、これを奨励します。

COGI会合参加者を代表して
HPVワクチン治験責任医師:    Suzanne Garland
子宮頸がん征圧をめざす専門家会議:     今野 良
子宮頸がん診断・予防の専門家 : Swee Chong Quek
がん疫学専門家:                 F. Xavier Bosch
COGI議長:                   Zion Ben Rafael

2014年2月22日 マカオにて